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日本がソ連から警戒された3つの要因

ソ連という存在から目を背けるな。 シリーズ!インテリジェンス・ヒストリー「開戦に追い込まれた日本」①

■ソ連にとって日本は重要な国だった

日本に負けたロシア(日露講和会議)

 日本人はあまり自覚していませんが、ソ連現在のロシアにとって日本は極めて重要な国なのです。

 第一に、一九〇四年から一九〇五年にかけて行われた日露戦争があります。

 当時、世界の大国であったロシア帝国は、アジアの小国、日本など簡単に踏み潰せると思っていました。ところが、日本海海戦で完敗し、満洲地域での陸上戦でも敗退を重ね、結果的に日本に敗北してしまいました。「日本軍は驚くほど強い」という恐怖心を以後、ロシア側は抱くことになります。

 第二に、この日露戦争の敗北が一つの契機となってロシア帝国の威信が揺らぎ、ロシア革命、つまりレーニンによる共産主義革命が成功して、ソ連が誕生したわけです。よってソ連のレーニンからすれば、ロシア帝国を打倒できたのはある意味、日本のおかげなのですが、それは言い換えると、日本の存在を常に考えざるを得なかったということでもあります。

ソ連が欲しがった不凍港(日露戦争の舞台となった旅順軍港(現代))

 第三に、ロシア、ソ連は不凍港と言って、冬場に海が凍らない港を確保するのが悲願でした。港が凍ってしまう冬の間、ロシアは全く身動きが取れなくなってしまうからです。当時のロシアは地下資源が豊富なシベリアを領有していましたが、冬になると凍ってしまって船を使えなかったため、その地下資源を活用できなかったのです。それは経済、貿易面でもかなりの痛手です。

 そこで、冬でも凍らない港、アジアで言うと、シベリアの隣にある満洲・朝鮮半島地域の港を確保しかったのですが、そうしようとしたとき、最大の敵は日本でした。

(『日本は誰と戦ったのか』より構成)

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江崎 道朗

えざき みちお

評論家。専門は安全保障、インテリジェンス、近現代史研究。



1962年生まれ。九州大学卒業後、月刊誌編集、団体職員、国会議員政策スタッフなどを経て、2016年夏から本格的に評論活動を開始。月刊正論、月刊WiLL、月刊Voice、日刊SPA!などに論文多数。



著書に『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』(PHP新書)、『アメリカ側から見た東京裁判史観の虚妄』(祥伝社新書)、『マスコミが報じないトランプ台頭の秘密』(青林堂)、『コミンテルンとルーズヴェルトの時限爆弾』(展転社)ほか多数。



 


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